AHPでは,評価基準に重み(重要度)を与えましたが,OWAオペレータはすべての基準に対して等重みとし,順位に対して重みを与えます. 出力値(総合評価値)を計算する流れを「骨董品の総合評価」を例に説明します.
オークションサイトなどを利用して換金したらいくらになるかを考えたとき,やや慎重な価格を5人の鑑定人の評価値から求めます. このとき,鑑定人の評価値に重みを与えます.慎重に総合評価するので,低い評価値を重要視する総合評価法にします. そこで,図1の最上段の表のように,
図1の上から3つ目の評価は,各鑑定人の評価値の順位を求めたものです. 図1の最下段の表は,各骨董品について,評価値の高い順に表示し,一番上の順位に対する重みのとの積を求め,その合計を計算したものです.
この慎重な評価の場合,掛け軸Cがもっとも高い総合評価値となります.
収集仲間が集まって,互いに品を自慢し合うことになったとき,いくらぐらいの品なのかの評価額を決めようとおいます. このとき,高い評価値を示した鑑定人の評価値に高い重みを置くことにします. 図2は図1と同じように計算したものですが,
また,すべての順位に同じ重み(これは,通常の単純平均値に同じ)を置いたとき,絵画Bがもっとも高い総合評価値になります.
AHPは,評価基準への重要度を与え,OWAオペレータは順位への重要度(慎重な総合評価や楽観的な総合評価)を与えましたが,両方(評価基準への重要度と 慎重な<=>楽観的な総合評価法)の両方を取り入れたのが,ショケ積分で,AHPの拡張として定義されたものがHFI(階層化ファジィ積分)です.
専修大学 商学部 高萩栄一郎
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