OWAオペレータ(OWA operator)の流れ

AHPでは,評価基準に重み(重要度)を与えましたが,OWAオペレータはすべての基準に対して等重みとし,順位に対して重みを与えます. 出力値(総合評価値)を計算する流れを「骨董品の総合評価」を例に説明します.

例題:骨董品の総合評価(図1)

ある骨董品の収集家は,3つの自慢できる品 -- 茶器A, 絵画B, 掛け軸C -- を持っています. 各品を5人の鑑定人に見てもらい,それぞれの鑑定結果が図1のやや上,評価値(単位:万円)の表だったとします (水色の部分に,評価値を入力していきます). 5人の鑑定人の評価値から自分の総合評価値を求めることを例に説明します.
OWAオペレータの計算表(慎重)
図1: OWAオペレータの計算(慎重)

慎重な総合評価の場合

オークションサイトなどを利用して換金したらいくらになるかを考えたとき,やや慎重な価格を5人の鑑定人の評価値から求めます. このとき,鑑定人の評価値に重みを与えます.慎重に総合評価するので,低い評価値を重要視する総合評価法にします. そこで,図1の最上段の表のように,

に,低い順位の評価値に高い重みを与えることにし,図1の一番上の表の水色の部分に入力しています.

図1の上から3つ目の評価は,各鑑定人の評価値の順位を求めたものです. 図1の最下段の表は,各骨董品について,評価値の高い順に表示し,一番上の順位に対する重みのとの積を求め,その合計を計算したものです.

この慎重な評価の場合,掛け軸Cがもっとも高い総合評価値となります.

楽観的な総合評価の場合

収集仲間が集まって,互いに品を自慢し合うことになったとき,いくらぐらいの品なのかの評価額を決めようとおいます. このとき,高い評価値を示した鑑定人の評価値に高い重みを置くことにします. 図2は図1と同じように計算したものですが,

のように高い評価値に高い重みを置いて計算しています. この場合,茶器Aが88万円と最もたかい総合評価値になります.

OWAオペレータの計算表(楽観的)
図2: OWAオペレータの計算(楽観的)

また,すべての順位に同じ重み(これは,通常の単純平均値に同じ)を置いたとき,絵画Bがもっとも高い総合評価値になります.

AHPは,評価基準への重要度を与え,OWAオペレータは順位への重要度(慎重な総合評価や楽観的な総合評価)を与えましたが,両方(評価基準への重要度と 慎重な<=>楽観的な総合評価法)の両方を取り入れたのが,ショケ積分で,AHPの拡張として定義されたものがHFI(階層化ファジィ積分)です.





専修大学 商学部 高萩栄一郎
連絡先: takahagi@isc.senshu-u.ac.jp

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