AHPは,評価基準への重要度を与え,OWAオペレータは順位への重要度(慎重な総合評価や楽観的な総合評価)を与えましたが,両方(評価基準への重要度と 慎重な<=>楽観的な総合評価法)の両方を取り入れたのが,ショケ積分で,AHPの拡張として定義されたものがHFI(階層化ファジィ積分)です.
HFIは,図1のように,ほとんどAHPと同様に計算できます. 例題は,AHPの例題と同じ「大学の帰りにお腹がすいたときに,どの軽食を取るか」です. ただし,重要度などは状況が変わったとして,重要度や評価値を変更しています. AHPの重要度や各代替案の評価値をHFIの計算表に転記します.
図1は,HFIの計算表で,AHPの計算表とほぼ同じです. 違いは,入力する値ににξ(図1 右上)があります. ξは,総合評価を行うときのパラメータで,0 < ξ < 1 の範囲を取ります. 0 に近ければ,慎重な総合評価,悪い点がないことを評価する総合評価法です. 1 に近ければ,楽観的な総合評価,よい点があることを評価する総合評価法です.
図1では,ξ=0.8 なので,よい点があることを評価する総合評価法です. 図2は,図1の結果をグラフ化したもので,{1}(おいしさ)が高い評価値であることが考慮され,お汁粉が1位になっています.最もよい点だけでみるとソフトクリームも{2}(費用)が評価されますが,2位以下も評価され,お汁粉は{1,3}(おいしさと満腹感)が高いことにより,お汁粉が1位になっています.
専修大学 商学部 高萩栄一郎
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