AHPで選択(意思決定)をする流れを「夕方,お腹がすいたとき,立ち寄るお店の選択」を例に,説明いたします. このページを見ていただければ,直感的にAHPがどのようなものか理解できると思います.
AHPとは,図1のような階層図を作成し,各項目について図2のような一対比較を行い,数値化し,図6のような総合評価値を求め,これを元に意思決定をする手法です.
このページは,Excelで学ぶ AHP入門(第2版)で配布しているファイルを使って計算していますが,全体の流れは,このページの説明で理解できると思います.
まず,選択対象の候補(代替案)とその選択をするときの評価基準を決めます. それを図1のような階層図で表します.
この例での意思決定者は,大学生で,大学の帰りにお腹がすいたときに,どの軽食を取ろうか考えている(目的)とします. 評価基準は3つあります.
どの評価基準をどのくらい重要視しているかを求めます. AHPでは,図2のようなアンケート用紙を作成し,それぞれの評価基準のどちらをどれくらい重要視するかを回答していきます.
一対比較では,「おいしさ」VS「費用」,「おいしさ」VS「満腹感」,「費用」VS「満腹感」のように,評価基準のすべての組み合わせについて,どちらをどれくらい重要かを回答していきます. 図2の各行について,意思決定者(回答者)は,自分の希望に従って,赤○などの印を付けています.
本書のファイルを使って,この一対比較の用紙を作成する手順は 動画:基準間の一対比較のアンケート用紙の作成を参照してください.
本書のファイルを使って,重要度を計算する手順は
動画:基準の重要度の算出を参照してください.
また,重要度のグラフ(図4)を描く手順は 動画:重要度のグラフを参照してください.
評価基準間の一対比較と同様に,評価基準毎に,代替案間の一対比較を行います.
まず,図5のように,最初の評価基準「おいしさ」について,各代替案間の一対比較を行います.
評価基準の一対比較と同様の方法で,各代替案の「おいしさ」についての評価値を求めていきます(図6).
本書のファイルを使って,評価値を計算する手順は 動画:代替案の評価値の算出(おいしさ)を参照してください.
図7のような表にまとめていきます(本書のExcelファイルでは,水色の部分に転記していけば自動的に計算するように計算式が設定されています).
図8は,図7の結果をグラフ化したものです.
今回は,「おいしさ」を重要視たため,「お汁粉」がトップになり,「お汁粉」を選択してみました. お金がなく「費用」を重要視したり,また,お腹の減り具合が大きく「満腹感」を重要視したときは,別の結果が生じると思います. たとえば,費用を重要視したときは「ソフト」,「満腹感」を重要視したときは「カレー」になると思います.
本書のファイルを使って,総合評価値を算出する手順は 動画:総合評価値の算出を参照してください.
また,総合評価値のグラフ(図8)を描く手順は 動画:総合評価値のグラフを参照してください.
各基準での一対比較により求めた代替案の評価値(図6)を比較することにより,代替案や基準の特徴を見ることができます.
図9は,代替案ごとの特徴のグラフで,各代替案のよい点,悪い点を比較するのに使います.
図10は,基準ごとの特徴のグラフで,各基準で,よい代替案,悪い代替案の分析をするのに使います.
専修大学 商学部 高萩栄一郎
連絡先: takahagi@isc.senshu-u.ac.jp
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